りんご農家の2月は、
ゲスト月間でした。

フランス人マックスが帰った次の日、
最後のゲスト、
アナスの最大の敵
私のボーイフレンドが日本からやってきます。
彼を迎えに行くのは、
アナス
ではなく、
私
でもなく、
スザンナ。
彼がコペンハーゲン空港に到着するのが、
ちょうどスザンナの仕事終わりの時間なので。
「私が迎えに行くわ」
なので、
彼の顔がわからないスザンナのために
彼の写真を見せると
「若いわね、いくつ?名前は?」と
具体的なことを聞いてくる母、スザンナ。
それに対して父アナスは、
「どうしてアジア人の男は写真撮るとき笑顔を見せないんだ」
すでに戦闘モード。
「俺が厳しく笑顔の作り方を教えてやらないとな」
と楽しそう。
「彼は当然、農作業用の服を持って来るんだろうな」
いやいやいや、
2日しかいないから、
観光しようよ。


「うちのファームに来たゲストは全員働くんだ。
うちの3歳の孫ですらトラクターの運転するんだから」
と言いつつ、ちゃんと観光ガイド用に、
いろいろ調べて用意してくれているアナス。
彼にも、こんな2人を見せてあげたいなと思っていました。
当人の彼は、
よくしゃべる割には、
いつまで経っても
私の名前が呼べない。
そういう子です。
私に話しかけるときも、
名前を呼べないもんだから、
呼びかけるワードを避けるため、
肩を叩いたり、
私のほうを指差して、「・・・は、」と
私の名前を言ったつもりで話し始める。
うーーん、
中学生男子みたいだ。
そんな彼が
ちゃんとコミュニケーション取れるのかしら。
すこし
心配。
彼が来る日。
私とアナスは留守番なので、
いつも通りのはずなのに、
朝起きると、
ビックリ。
アナスが正月以来、
髪を切って髭を切り揃えて
正装しています。
スースーする頭が気になるのか、
鏡を何度もチェックするアナス。
それ、私の役目じゃない?
しかも、アナスは、彼の乗った飛行機がキャンセルされていないか、
時間通り到着するのか、
30分おきにインターネットでチェック。
ずっと、ソワソワしています。
それも、私の役目じゃない?
花を摘んできて、活けるアナス。
それも・・・。
そうこうしていると、
夕方。
スザンナと彼が到着。
ドアまで飛び出して行ったアナスは、
いつものゲスト以上に
どうしていいかわからず。
スザンナへのお帰りなさいのキスも忘れて
モジモジと立っています。
娘のいないアナスは、
「娘のボーイフレンド」というモノに
どう接していいのか
わからない様子。
そしたら、
彼が自分の名を名乗り、
自分から握手。
ああ、よかった。
彼は、5歳児よりも大人だったわ。
早速夕飯。
よく見ると、スザンナも少しお化粧していて
いつもと違う雰囲気。
硬いままのアナスに、
スザンナ
「アナス、何か聞きたいことがあったんじゃないの?」
出来る女は、いつでも冷静です。
アナス「そうそう、君は、何をやっているんだい?」
それに対して、
彼が
自分の親の仕事から話し始め、
自分の生まれた場所の説明を始めます。
え?
そこから?
長くなるなーーー
アナスは多分、今の仕事のことを聞いてるのに、
と思いながらも、
口出しせず、黙って大好物の魚ラザニアを食べていましたが、
必死になって、
小学生のときの話とか、中学生のときの話とかを話す彼の姿が
何だかおかしくておかしくて、
でも
笑っちゃいけないと
必死で笑いをこらえていました。
彼が話している途中から、
アナスも自分の生い立ちと比べて、
いつの間にか
アナスの生い立ちの話に。
大学時代、化学を専攻していたから、
自分たちでお酒を作ってビーカーで飲んでたんだとか、
お酒をどう作るか知ってるか?
こうこうこういう化学式にのっとって・・・・・・・・・
もっと、長くなる・・・。
しかも、
緊張と興奮で
ワインをガバガバ飲んでいるもんだから
よくわからない方向に進んで行くアナスの話は止まらない。
それを止めることなく
「石器時代の話だから」と突っ込みながらも
必死なアナスを優しく見つめるスザンナ。
緊張しながら
楽しくもない話を一生懸命聞いている彼。
それを見ながら、
この空間にはたくさんの愛がつまっていて
とてつもなく、
今、
しあわせだ。
来てくれて、
ありがとう。
結局、飲みすぎたアナスは寝てしまい。
アナス劇場終演。
次の日



すっかりリラックスした
ツアーガイド、アナスに連れられ、
観光。
結局、
彼は何も話さず、
アナスの話を聞いてあげただけなのに、
気に入ってしまって、
「これを見てみろ、これを食べてみろ」と
大サービス。
最後には、
「ゆうりは、うちの大事な娘だから、お前にはやらん」
と
いつもの"あまのじゃくアナス"に戻って、
余裕の一言が言える程。
男って、
認めてもらわないとダメだし、
認めさせたいものなのね。
そんなこんなで、
アナス最大の敵は、
日本に帰っていきました。
彼が帰った後、
写真を見てみると、
笑顔を作ろうと頑張って引きつった彼の顔に、
アナス、
「これだから、アジア人の男は・・・」
そういうアナスの笑顔も引きつっていて、
スザンナ
「これだから男って・・・」
これだから家族って
いいなぁ!!
ゆうり